三河地域、愛知県 岡崎市欠町で音楽療法(ミュージックセラピー)を行っています。 障がいを持つお子さんとのおつきあいを始めて40有余年。 (発達障がい・知的障がい・自閉症・ダウン症・脳性麻痺etc.) 一人ひとりのお子さんの状態を踏まえ、 音楽を取り入れた活動による働きかけ(音楽療法)を行っています。 この、音楽を取り入れた働きかけによる「療育と文化」の活動の場、 それが私たちのMGW(ミュージカル・グループ・ワーク)研究所です。 |
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♪ とんだり、はねたり、じっと息をこらしたり・・・ 音楽は私たちの心と体を、知らず知らずのうちに動かしてくれます。 (音楽の、生理的・心理的・社会的作用) ♪ この音楽の力が、療育に生かされてゆきます。 |
音楽療法と言うと、 以前は「あぁ、あの癒しのやつネ」といった 狭い受け止められ方でしたが、 今では障がい児・高齢者・リハビリ等 さまざまな分野で取り組まれていることが 一般にも知られるようになって来ました。 いくつかの大学では音楽療法について学ぶコースも出来、 私も教鞭を執って来ました。 |
さて、お子さんの成長・発達にはいろいろな要素が必要です。 そこでMGW研究所では、お子さんのその時々の状態を見極めつつ、 お絵かきやボール遊び等での働きかけも適宜取り入れて行きますが、 重度のお子さんや、軽度のお子さんでもその時々の状態によっては、 働きかけが届きにくいことがあります。 そんな時、これを音に託した活動にすると、 働きかけの意図が、よりスムーズに伝わるということがあります。 例えば・・・・ ハンドドラムをお子さんの前で、出したり引っ込めたりして叩きを誘い出し、 “トン” と叩いた時にはその音に応えてピアノで “ジャ~ン” と音を返してあげます。 すると 「オヤッ!」 というようにそれに気付き、 次第に “トントン” “ポロンポロン” と、 音での交互のやり取りになって来ます。 これは・・・ 言葉によらないやりとりです(前言語、非言語コミュニケーション)。 言葉の出にくいお子さんにも、このような働きかけから人と人とのつながりをつけ、 社会性を広げて行きます。 |
“表現” し、それが誰かに受け止めてもらえることは、 お子さんの中に自信と人への信頼を生み出します。 そこで、お子さんの “表現” を広げるために、 楽器の使い方の工夫や、さまざまな小道具の開発もして来ました。 例えば・・・ キーボードを使った “いない、いない、ばぁ” や 特製の大ピック 等です。 簡単な方法で キーボード や ベース を弾いているお子さんもいます。 (これらは、音楽之友社発行の 『ネタ帳』 という本に書いておきました) |
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療育での働きかけの基本は『踏み台』という考え方です。 お子さんは一段一段自らの力で発達の階段を登って行きます。 しかし障害等のハンディがある場合には、 この一段一段が高すぎて登って行くことが出来ません。 そこで・・・ 私たちはお子さんがこの階段を登って行けるように、 一人一人に沿った小さな踏み台(音楽を取り入れた活動)を幾つも用意してあげます。 踏み台を使ってゆっくりとこの階段を登れるようにしてあげることで、 お子さんは持てる力を発揮することが出来ます。 この踏み台は・・・ それぞれのお子さんに応じて千差万別に、いろいろな形を考えて行きます。 ですから、一見レッスンのように見えることもあれば、 ゲーム大会のように見えることもあるでしょう。 また、元気いっぱいに跳び回っている風景もあれば、 体の不自由なお子さんに、静かにそっと音で語りかけていることもあるといった具合です。 指導の形も、個別指導やグループ指導、 親子での活動やお子さんだけでの活動等いろいろな展開が出て来ます。 |
どんなに重度の障がいを持っているお子さんにも、 それぞれに今現在持っている力があります。 その力を外に引き出し、使いどころを見つけてあげることも大切な視点です。 (タテの発達とヨコの発達) 「種」には、その中に育つための命が秘められています。 しかし土にまき、水をやり、光を与えなければ、花を咲かせてはくれません。 どのお子さんも、それぞれに育つ力を秘めています。 育ちの主人公はお子さん自身 だという事を心に刻みつつ、 この力が花咲くように、私たちの働きかけが、 土と水と太陽になれたらいいなと願っています。 |