■音楽療法のセッションでは、
刻々と変わる
クライエントの状態に
即応して行くことが必要であるが、
その内面を直接目で見ることはできない。
しかし、身体には
その内面が反映されている。
セラピストはそれを“視て”感じとり、
クライエントと音や動きや仕草で
対話をしていく。
■大分以前の事であるが・・・
♪地元岡崎の画廊
ザ・ブルー・ボックスにて、
フリージャズを聴いた。
ぐるりと絵に囲まれた中での
サックスとドラムとのかけ合いで、
もちろんその場での、
音と音との即時でのやり取りである。
♪始めのうちはその音を聞いていたのだが、
だんだん音を出している人自身に目が移った。
そこで全体を見通せる会場の後部に立って、
やり取りを見つめることにした。
♪しばらく“視て”いると、
音のやり取りのみならず、
両者の身体の動きにも対話を感じて来た。
演奏を続けるなかで、
サックス奏者の体の向きや立ち位置が、
刻々と変わってくる。
片足のつま先立ちや、
左右へのステップでの動きなどと、
いろいろなパフォーマンスを経て、
壁にもたれて小休憩(?)。
♪その間にも、ドラムは叩きかけているが、
サックス奏者の振る舞いによって、
叩きのニュアンスを変えているように
感じられる。
それは、
ドラムがサックスに、
「そのまま休んでいていいよ」と語り、
しばらくすると
「そろそろ入って来て」と、
誘っているように私には映った。
この後サックスが戻り、
体を前に傾け
後ろにのけぞらせての
大熱演となった。
息のあった演奏である。
♪演奏後、私は二人に、
ドラムがサックスに
(演奏とは別の次元で)
語りかけていたという印象を伝えた。
サックス奏者の方は
「別に何も感じていなかったけど」、
ドラム奏者の方は
「そう、その通り!」。
これはクライエントと
セラピストとの関係のようだ!
♪セラピストはクライエントに
即応的な配慮をして行くが、
付きまといではなく
さり気なくである。