■ さて、アコーディオン漫談の、
“近藤志げる”という人だが、
昭和7年生まれの、80歳・・・。
この人の芸は、ラジオの寄席番組(NHK)で、何度か耳にしている。
高座は、トークとアコーディオンの弾き語りでおりなされて行く。
使われる曲は、
「赤い靴」「しゃぼんだま」「リンゴの唄」等々の童謡・歌謡曲、
いわゆる懐メロである。
時代背景が洒脱に語られ、
アコーディオンと共に歌が流れる。
■ 聴衆は年配の方が多い気配で、
昔を思い出しつつ聞いているのだろうか。
「そうだった、そうだった」と、
心の中で相槌を打っているのかも知れない。
知らず知らずのうちに、
会場が歌声で満ちている。
この話と歌との「間合い」は、
音楽療法のセッションに通じるものと、
ラジオで聴くたびに思っていた。
それがこの日(3/17)生で見ることが出来た。
アコーディオンの演奏は、
音数をあまり多くせず、
歌と話の継ぎ目には、
左手のボタンのみを軽く使い、
少しの音で間をつないでいる。
空いた、(鍵盤を使う)右手で仕草をしている。
曲の出だしをちょっと先読みするだけで、
会場から歌声が漏れてくる。
時には伴奏だけで、
歌は会場に任せる。
聴衆が歌詞につまりそうな時には、
先読みをサラリと入れたり、
フレーズの終わりの音を少し引っ張るようにして、
会場の反応を待つ。
すると聴衆がそこへ歌詞をのせてくる。
これらは、音楽療法の技法に照らすと、
・先読み・モデリング・未解決技法等と重なる。
■ 人と人との間での仕事人は、
間合いを取るのが上手である。
この間合いを、“盗み稽古”させてもらったひと時である。