■ 新学期や運動会などの季節は、
環境がいろいろと変化して、
子どもたちにとっては大変な時期。
■「ねむい、このままでやる。」と、
フロアに寝そべる女の子(広汎性発達障害)。
この4月から年長さんになり、
担任が変わるなどの環境の変化にとまどい、
疲れて先ほどまで車の中でウトウトしていたようだ。
お母さんと共にセッションルームに入る。
座椅子に寝かせてあげて、
♪ こんにちは・・・♪ と、
始まりの歌を柔らかく、背中をさすりつつ歌いかけてあげる。
やり方によっては、ギャァ~とパニックになるやも知れぬところだが、
この接し方がよかったようで、静かに横になっている。
このような状態のときは、何かをやらせようと思ってはいけない。
寄り添うことが大切である。
しかし、独りよがりな寄り添いでは押し付けになり、
子どもが迷惑するであろう。
続けて、「おねむりの歌だよ」と、
<ゆりかご>をアシスタントのピアノと共に、
やはり背中をさすりつつ、柔らかく歌いかけてあげる。
こちらのブレスも、この子の呼吸に合わせて行く。
大事に大事に、働き掛けて行く。
この子は、落ち着いて静かにしている。
続けて、<春が来た> <春の小川> などを同様に行う。
■ ボタン式ベルを床に置き、
いつもやっている<タイコをポン(オリジナル)>を行ってみる。
「○○ちゃん、聞いていてね。」という感じでやっていたのだが、
寝そべったままで、ベルに手を出して来た。
「あぁ、あれだ~」と思ったのだろうか。
曲にそって、きちんとしたタイミングで鳴らしてくる。
「聞いてればいいからね。」というニュアンスも持たせつつ、
“呼びかけ技法”を行ったものだが、
応えてくれた。
■ この後、ボタン式ベルで同様に、
<アンパンマン> <こぶたぬきつねこ>なども行った。
そして、私のギターとアシスタントのピアノとで、
<アンパンマン>を演奏した。
すると、この子がおもむろに起き上がり、
ギターに手を伸ばし、ストロークを始めた。
特製の、手で握りこむロングピックを渡してあげると、
大きな音でジャンジャンとストロークをしている。
何曲かこの活動を行った後、また横になった。
■ アルペジオをフューチャーしたギターのみの演奏で寄り添う。
即興やメドレーで演奏していたところに、
いいタイミングで、ピアノも入って来た。
(ここでピアノも欲しいと思ったところである / 以心伝心)
曲を<カッコー>にし、ギターとピアノにのせて歌いかける。
・・・終わりはいつもの、
♪ さようなら ♪ の歌、
ここも“呼びかけ技法”である。
ゆったりと終わりになった。
■ 終了後、お母さんに、
しばらく今日のようにゆったりとした展開にし、
この子にとってMGW研究所が、
「受け止めてもらえる場」「ゆったり出来る場」と、
感じてもらえるようにしたい旨を伝える。
お母さんも賛同された。
■ 今日は、うまく寄り添えたような気がした。
アシスタントも「よかったね・・・。」という感想を持っていた。
寄り添うのは、教えるよりも格段に難しい。
この子がいて、いい時間が過ごせたと感じた。
この子の状態が、柔らかい接し方を引き出してくれた。
こちらの心の中が、ふんわりとしてくる。