三河地域 、愛知県岡崎市欠町で音楽療法を通し、障がいを持つ方の成長・発達・豊かな心づくりのお手伝いをしております。

三河 岡崎市の音楽療法(ミュージックセラピー)はMGW研究所
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合奏 体形 表情

カテゴリ : ♪ 音楽療法関連

■  3/25(日)、個別・グループ合わせて、

6本のセッションを行った。

グループセッションでは、

活動の中に、合奏を取り入れた。

 

曲目は<春が来た>。

しかし、この日の陽気はちょっと肌寒。

・・・春分は過ぎたのだが。

 

■  例により、セッションの流れの中に、

この日の、それぞれの子ども達の状態を掴むための活動

(ランニング・アセスメント)を

いくつか組み込み、パートを分けていった。

 

 ・キーボード

           (メロディ奏)

 ・ボタン式ベル

           (ド・シ・ラ・ソ・ミ・ファ・レ・ドの順鳴らし)

 ・ドラム

 ・ベース

           (カポタストを使い、解放弦で3コードのルートが出せる仕掛け)

 ・3連のタンバリン

    (手作り:定型のリズムが掴みやすい)

 ・スタンドシンバル

 ・ウッドブロック&カウベル

 

これらで、合わせになるように、

ピアノの伴奏を工夫する。

 

■  しばらく活動の後、

保護者をお呼びして“発表会”。

 

以下の写真は、その前の様子だ。

普段の活動なのだが、

演奏前で、ちょっと緊張した面持ちである。

この表情が、演奏になるとガラリと変わる。















 

演奏時、私は子ども達をリードしているので、

演奏中の写真はない。

 

■  その後車座になり、

スズ輪(オリジナル楽器)を皆で鳴らした。

体形が丸くなるだけで、

皆の心理的距離がぐんと近づく。

 

合奏の時にも、その体形を半円にして、

気持ちのつながりを取っていたのだが、

このスズ輪での活動は、

開放的な雰囲気をつくり、

メンバーの気持ちを、

よりつなげる事を意図して行ったものである。


 

■  セッションでは、

緊張と解放、動と静といった流れを、

メンバーの状態に即応して作ってゆくことが肝要となる。

声・鍵盤ハーモニカ・ピアノでのやり取り

カテゴリ : ♪ 音楽療法関連

昨日、「別稿で報告する」とした、

T子ちゃんとの“やりとり”のひとこまである。

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■ 長寿社会フォーラムにて、

T子ちゃんの<アの歌>のビデオを流す。

一同の感動を誘った模様。

この子達が、皆に希望をもたらしている。

それに関わっているということに興奮を覚える。

 

そのビデオの場面は次のようなものである。

 

■  T子ちゃんのふと出した「アーァ」という声に対して、

私もそれに応えるように、「あーぁ」と柔らかい声で返す。

それにT子ちゃんも気づき、また「アーァ」と声が返ってくる。

アシスタントのピアノと共に返してあげることも行う。

 

T子ちゃんの声、私の声、ピアノの音とが、

場の中で微妙に呼応し合ってゆく。

松井氏の言う“エコー技法”という方法である。

 

 そうやって、声や音とのやりとりを促しておいてから、

<アの歌>をやってみる。

「♪ 大きく~」と歌っておいては、

次の歌詞である「ア」のところで、

T子ちゃんの「あ」がうまく出るように、

タイミングを合わせて行く。

 

私がちょっと先に「あ」と歌っておいてから

T子ちゃんの「ア」を待ったり、

T子ちゃんの表情や顔の動きを見ながら

私とT子ちゃんとの「あ」と「ア」の発声が共に出るように、

歌いかけの間合いを変化させてゆく。

 

この曲は、T子ちゃんにとって

とてもなじみのある曲となっている。

そのなじみの曲の中で、

このような“やりとり”をしてゆく。

既成曲であるが、

歌いかけの間合いは、

T子ちゃんの状態によって即応的に行ってゆく。

 

 キーによっても反応が変わってくる。

キーがCの曲であるが、キーを少し低くして、

Aで歌いかけた方がよく声が返ってくる。

 

■ T子ちゃんにもなじみの歌がいくつかある。

当時TVドラマで流されていた<アメイジンググレイス>を、

この子も耳にしているということを、

セッション中に母親から聞き、

早速その場で取り入れてみた。

 

キーをAにして、

私がT子ちゃんの目の前で鍵盤ハーモニカを、

アシスタントはピアノで伴奏をつけ、二人で演奏をした。

演奏が終わると、何とも言えぬ、いい笑顔を見せてくれた。

(お母さんの表現では、「クシャクシャな顔をして喜んでいた。」)

確かに、「聞いてくれている」と手応えを感じさせられた。

 

 その後で、鍵盤ハーモニカをT子ちゃんの前に差し出すと、

「アーアー」という発声と共に、

鍵盤によく手を出してくる。

私がそれに合わせて、息を吹き込む。

その吹き込み方で、長く音を続けたり、

短く音にリズムをつけたりすることが出来る。

 

それに呼応して、

アシスタントのピアノが合いの手を入れる。

T子ちゃんの、目の前のキーを押すという行為が、

3人での“やりとり”となってゆく。

自分の出した音に変化がつき、

即興演奏になってゆく。

 

■  T子ちゃん達の持っている力は限られているが、

その持てる力を、

いろいろな形で「横に」広げてあげることを考えたい。 

固有の存在(ナンバーワンとオンリーワン)

カテゴリ : ・ 随想

いささか前にはやった歌の事ですが・・・。

 

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■  「ナンバーワンでなくてもいい、

オンリーワンであればいい」とは、

<世界で一つだけの花> の有名なフレーズ、

 

「そうだ、そうだと」共感する人が多いかと思うが・・・。

私には、この歌詞がストレートには、受け入れられない。

 

       ・うがった見方にうつるかも知れないが、

          重度の障がいを持つお子さんに、

          日々接している者の印象である。

    ・もとより、SMAPには何の他意もありません。

 

■  「オンリーワン・・・」ということは、

誰かと優劣を比較したりせずに、

その人固有の価値を見いだせ、という意味であろう。

また、それが有るということであろう。

それに異議はない。

 

しかし、価値が有るとか無いとかということに

目をやるのではなく、

ただそこにいる(存在)ということを、

尊重したいと思う。

 

何らかの価値があるから尊重されるというのではなく、

存在そのものが、大切にされたいと思う。

 

■ 以前、もう一つのブログで書いたお子さんは、

「言葉によらないやり取り(2010.09.17)」

そのビデオでの映像が、

シンポジウム*に参加した聴衆に感動をもたらしたが、

だから、その存在価値があるというのではない。

 

周りに何ももたらせなくても、

もともと存在価値があるのである。

いや、価値などという言葉も使わずに、

ただその存在を大切にしたいと思うのである。

 

  *東海テレビのホールにて行われた、

   長寿社会を巡ってのシンポジウムで、

   私もシンポジストとして壇上にいた。

   その時の話である。

   (この時の内容は、別稿で報告する。)

   

■  金子みすずの詩に

「みんな違ってみんないい」という有名なフレーズがあるが、

この言葉のニュアンスには、共感を覚える。

その違いに特別な意味・価値を見いだすというのではなく、

違っているという存在を、そのまま受け止めている。

受動と他動 2

カテゴリ : ♪ 音楽療法関連

 ずいぶん以前の、Y男くんとの事・・・。

 

■  重度の知的障がいで、

身体にもハンディがあり、

トイレ・着替え等、

身の回りの事は全介助のY男くん。

「アーアー、ガァーガァー」などの声は出せるが、言葉は無い。

 

■  このY男くんの、ある日のセッションでの事。

 

一連の流れの中で<大きな古時計>を演奏した。

私は、彼の目の前で鍵盤ハーモニカを、

アシスタントは、ピアノでの合わせである。

 

すると、少しするうちに、

彼は上体をすっと伸ばして心持ち居住まいを正し、

「アァッ!」と声を出し、手を打った。

この時期、この曲が彼の中で

なじみの曲になっていたのだろうか。

 

私は、彼が確かにこの曲を聴いてくれているという実感を持った。

この聴くという行為は、

受け身ではなく、能動的なものであろう。

 

■  障がい児に対して音楽活動を行っていると、

身体活動としては受け身であっても、

精神活動としては

確かに能動的な活動をしていると感じられることが多い。

 

体での表現がしにくい子ども達であるからこそ、

そこでの「聴く」という行為が、

積極的な活動(受け身ではなく)であるのだろうと・・・感じられる。

 

■  「聴いて」くれている時は、

一瞬(療育者ではなく)演奏者になったような気がする。

受動と他動 1

カテゴリ : ♪ 音楽療法関連

■  セッションの中で、子どもと一緒に

 音楽プレーヤーで音楽を聴くことも時々取り入れている。

 そのテープやCDで、

 いわゆる受動的音楽療法をしようというのではない。

 テープ・CDを聴く活動を、
 子どもと共有しようとしているのである。

 

■  かけられる曲によっては、

 子どもの方から拒否のサインが出ることもある。

 (スイッチのところに手を伸ばす、音楽プレーヤーを押しやる等)

 また、ニコニコとOKのサインの出ることもある。

 それらの反応に応じて、

 こちらもいろいろな声かけやふるまいをして行く。

 

 音楽プレイヤーを利用しての

 “やりとり”場面を作っているのである。

 

■  小グループの時に、

 メンバーみんなで共に聞き、

 それを元に

 子ども同士の会話を引き出すこともある。

 

 また、活動の流れの中で“静”の場面として組み込むこともある。

 

 いろいろな目的を込めることが出来、

 種々の場面展開が出来てくる。

 

  ・・・続く・・・
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